ICU内で院内感染が起こると重篤化しやすい。感染対策は確実に実施する必要がある。
ICUでは患者さんはベッド上に横になって寝ている状態で、感染管理は実施が簡単のように思えるが、逆に院内感染が起こりやすい場所となっている。
手術室ほどではないが清潔区域化され、エリア内に出入りする人も限られ、スペースもそれほど広くはないにもかかわらず院内感染が起こりやすい。
病院内清掃には不衛生要素が多々存在するが、医師や看護師からでは捉えにくいにくい分野です。
そのため、院内感染対策が“手洗いのみ”になっているのが現状です。
感染対策を看護助手・スリッパの履き替え・清掃工程の3つから考えたいと思います。
看護助手
看護助手は病院によって作業が異なりますが、一般的な作業から考えます。
ICUに限らず看護助手という仕事は雑用が多い。スリッパの取り扱い・スリッパ(シューズ)ボックス清掃・リネンの交換・汚物処理など、手だけでなく衣服まで不衛生になる作業がある一方、物品の補充や患者さんの身の回りの世話など、清潔な手・衣服で対応しなければならない作業も多い。
不衛生な仕事をするときには手袋・ガウンを着用し、その不衛生な作業が終了したときには手・衣服を清潔にしなければならない。少しでも埃がたつような作業後には、前腕部・手を流水で手洗いしたほうがよい。直接不衛生なものに触れるのは手であっても、小さな埃は前腕部分にまで付着することがある。
看護助手は、不清潔な作業から清潔な作業への切り替えをきちんとおこなうことが院内感染を防止する上で重要となる。看護助手の何の作業が清潔なのか、何の作業が不衛生なのかを調査し、ガウン・手袋の着用、手洗いをするタイミング、手洗い方法の選択を病院内でルールを決めなければならない。
スリッパの履き替え
手術室からICUへ、または一般病棟からICUへ移動の時にスリッパの履き替えをおこなっている病院もまだあると思われます。そのような病院の場合、スリッパを手にした後は必ず手洗いをしなければならないが、その場面で手洗いが実施されることは少ない。
スリッパは床の表面に接し、床の埃を付着させ、不衛生になりやすい。スリッパを手で触れれば床の埃を手に付着させ、手が不衛生になってしまう。
スリッパの履き替え後の手洗いを徹底するか、もしくは一足制を導入したほうがよい。
スリッパの履き替えとの関連でシューズカバーにも同等の問題がある。シューズカバー着脱時もスリッパの履き替えと同様に手洗いが重要です。
清掃工程
ICUに限らず清潔エリアにおける清掃工程・清掃方法というのはとても重要と考えます。なぜなら、不衛生な物をどのように清潔にするか・不衛生な物をどのように処分するかがこの清掃工程にあるからです。
一般的に考える清掃は、汚れているところを綺麗にするということです。
しかし、ICUなど病院内に求められる清掃は、清潔に清掃をするということです。最終的な見た目の状況ではなく、汚れたところを清潔にしていく工程・段階が重要です。
ICUは毎日清掃を実施しなければならないと考える病院も多い。週7日間同じ人が清掃するわけにもいかないので、不慣れな人がスポット的に日曜日だけ清掃するということがある。それが不衛生の拡散につながってしまうことがある。清掃の方法を熟知した清掃スタッフが週6日清掃し、日曜日は清掃なしとしたほうが清潔を維持できる場合がある。